目次
下半身の次は上半身です。今回は上体を大きく見せるために、胸とお腹と背骨について説明します。
息を吸って胸郭を拡げよう
当然ながら胸板は厚く見えた方がたくましく、かっこ良く見えます。だからといって、全てが大胸筋である必要はありません。
大きく見えればいいのですから、肋骨を押し広げて、胸板を厚く見せてもいいのです。
胸郭を拡げるのは難しくはありません。
思いっきり息を吸ってみてください。胸が膨らむでしょう。それだけです。ただし、その状態では苦しくて、長く持ちませんので、呼吸しつつも胸郭を大きくしたままにできるようにならないといけません。
そもそも胸郭が拡がるのは、肺が膨らむからではありません。肋骨間(呼吸筋の内の吸気筋)の筋肉が肋骨を動かして、胸腔内の容量を増やし胸腔内圧変化させるから肺が膨らむのです。
随意的に吸気筋を収縮させることができれば常時胸郭を広げたままに出来ます。習得には練習が必要です。
お腹を引っ込めてウエストを細く見せよう
胸郭を広げて胸を厚くしたら、今度はウエストを細くしましょう。細いウエストと分厚い胸板が揃えば、逆三角形の体型が完成します。
お腹に脂肪がたっぷり付いていれば、ダイエットによってウエストは細くなりますが、コンテストビルダーは、すでに落とせる脂肪は全て落としているので、ダイエットによってそれ以上にウエストを細くすることはできません。
ウエストをさらに引き締めるには、内臓を上方に移動させます。
腹筋の深層には腹横筋というバンドのような筋肉があり、主に呼気筋として働きます。
その腹横筋を随意的に収縮させ、ウエストを細くします。腹横筋の収縮の練習は、単にお腹を引っ込める練習でも構いません。
上手く出来ない人は、四つん這いになってのドローイングが効果的です。
ちょっと背中を丸めて
さて、胸郭を拡げ、お腹を引っ込めました。
これで逆三角形の体は手に入った、と言いたいところですが、このままでは、自然には見えません。
大きく息を吸った姿勢ですから、体が後ろに仰け反ったような姿勢になっているはずです。
審査員はステージの下から選手を見上げています。仰け反っていては、ステージのライトも手伝って、陰影の無い、のっぺりとした体に見えてしまいます。(画像1、2B)


胸郭を拡げて、お腹を引っ込めたら、ちょっと猫背にするように、体を丸めて、仰け反りを直しましょう。それでも審査員の方に体が向かない場合は、股関節から体を前方に折り曲げて、審査員を見下ろすような姿勢をとりましょう。(画像1、2A)
審査員とにらめっこしても、評価は変わりませんが、適切な角度で体を前屈させることで、筋肉の陰影をしっかり作ることができるでしょう。
終わりに
筋肉美は「筋肉」だけでは成り立ちません。
全身のシルエットと、適切な骨格のポジショニングによって筋肉はかっこ良く見えるのです。
次回は、さらなる逆三角形の体を目指して、肩甲骨の動かし方について解説します。肩甲骨を正しくコントロールしてこそボディビルダーらしい体が出来ます。